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映評 ─『人体の構造と機能』第1集 全4巻─苦手意識をもちやすい解剖生理理解のコツを伝授してくれる映像教材
八ッ橋 のぞみ
1
1神奈川県立よこはま看護専門学校看護科
pp.833
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200609
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看護の初学者にとって「人体の構造と機能」という科目は,言葉の難解さに加えて,人の体を立体的にイメージしながらとらえることが難しいため,「解剖生理は苦手」という声が毎年のように聞かれる。それらの声に対し,本DVDは画像やイラストが豊富に使われており解説も日常の事柄をたとえにしたわかりやすいもので,1巻ごとの視聴時間も学習に集中できるようにコンパクトに構成されている点で,副教材として手軽に活用できる内容となっている。
第1巻「解剖生理学総論」は,解剖学の基礎知識から解剖学的用語の説明までをまとめている。このなかで,人体は細胞・組織・器官・器官系という階層性により成り立っているという説明は,人の体の構成を明確に示しており,病気を理解するにあたって,なぜ細胞レベルから学習する必要があるのかという根拠となっている。第2巻「生命活動と恒常性Ⅰ」は,人体の構成と遺伝子・染色体について説明されている。細胞やミトコンドリアという,学生がアレルギーになりそうな言葉は,わかりやすいイラストと卵の殻,発電所といったたとえを用いた説明により,できるだけイメージしやすいものとして学習を進められるようになっている。また組織の分類では,上皮組織,支持組織,筋組織,神経組織の分類について,表面を覆う,支える,動かす,コントロールするといった,平易でありかつ端的な表現により理解しやすいものとなっている。
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