連載 学びのヒントをもつ私 学生は「経験」の宝庫・3
要支援者と支援者になって
文倉 志信
1
1順天堂大学医療看護学部
pp.923
発行日 2015年9月25日
Published Date 2015/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200330
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私は今大学3年生ですが,看護学生になって要支援者への支援について勉強を進めていくなかで,いくつか気づいたことがあります。
1つは,支援者が要支援者とかかわるときに,前者の勝手な価値観のもとでかかわっていては何も変わらないということです。私のように家族に障害者がいる人は,障害者本人の「支援者」ですが,同時に「要支援者」でもあると思います。第1回でお話ししたように,家族に障害者いることで生まれる困難があるからです。苦境にある人を支えるのが支援ですから,障害者だけでなくその家族も支援を必要とするでしょう。そんななかで,大学生になってからは,支援を提供する身として学ぶ機会が多くなりました。いつの間にか,つい「○○してあげる」という気持ちや「困っている『だろう』」という考えに至りがちで,支援者の価値観だけで支援する事項や方法など決めないということは,なかなか難しいと感じています。支援者と要支援者,両側面を経験してきた私でさえ,支援者として要支援者への支援を考えたときには自分の価値観に囚われるのですから,「要支援者のことをよく考える」ということをどれだけ言葉で学んでも,支援者としての視点しか知らない学生にとってはとても難しいのではないかと思います。
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