連載 医療と社会 ブックガイド・35
『PTSDの医療人類学』
立岩 真也
1
1立命館大学
pp.144-145
発行日 2004年2月25日
Published Date 2004/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200164
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今まで名前のついていなかった様々な状態が,ACとかADHDとかたいていアルファベット何文字かの略語になる障害・病気として登場することがあり,そのことについて,なんでも病気にしてしまうと批判的にも語られる.それは病気だと言うのと言わないのと,どちらがよいのだろう.そして多くの人は同時に両方を思っているはずだ.つまり一方で,それが病気であること,深刻なことであることは認められるべきだと思う.一つは,だがそうしてなんでも病気だとしてもよいだろうかと思う.どう考えたらよいだろう.
そのためにまずハープ・カチンス他「精神疾患はつくられるDSM診断の罠」(日本評論社)を紹介しようと思った.これには政界内幕物のようなおもしろさがある.だが次回にしよう.今回は,もっと重要にちがいないと思いながら,ずっと手がつけられずに放置してあったもう一冊のほうを紹介する.
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