Japanese
English
特集 医療現場での怒り—どのように評価しどのように対応するべきか
PTSDと怒り
PTSD and Anger
前田 正治
1
Masaharu Maeda
1
1福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座
1The Department of Disaster Psychiatry, Fukushima Medical School, School of Medicine, Fukushima, Japan
キーワード:
Posttraumatic stress disorder
,
Anger
,
Aggression
,
Hostility
Keyword:
Posttraumatic stress disorder
,
Anger
,
Aggression
,
Hostility
pp.1267-1275
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205933
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録 外傷後ストレス障害と怒りとの関連は深い。第一に,覚醒亢進症状の発露としての発作的な,衝動的な怒りがある。この場合,悪意や攻撃性を伴わないことも多く,怒りの対象も明確でない。自我違和的でもあり,問題行動として外在化しやすく,治療的合意も得やすい。第二に,深刻な犯罪被害などトラウマ体験によっては,根強い攻撃性や憎悪感情を背景に持つ怒りもある。その際は,怒りはしばしば復讐としての文脈を帯び,当事者にとって自我親和的であるがゆえに治療的合意も得にくい。そのような症例に対しては怒りの背景について理解した上で,まずは共感を旨として治療関係を作るべきである。一般に,怒り発作に対しては,心理教育,リラクゼーション,認知行動療法,薬物療法が有効である。症例によっては,攻撃性に関するリスク査定も必要となる。また治療や支援の過程で,怒りの対象となった関係者が外傷化してしまうことも多く,適切な心理的ケアが必要となる。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.