特集 看護事故防止カリキュラムの構築
東京都立看護専門学校における「看護事故防止カリキュラム」の構築について
林 慶子
1
1東京都立松沢看護専門学校
pp.94-103
発行日 2004年2月25日
Published Date 2004/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200156
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はじめに
横浜市立大学病院の患者取り違え事故(1999年1月),都立広尾病院の消毒液誤注射事故(1999年2月)が,医療・看護界に与えた衝撃は計り知れない.
都立看護専門学校では,広尾病院の事故直後,全校(11校)で教育カリキュラムの総点検を行い,「安全」に関する内容を,各科目に盛り込み強化してきた.また平成11年度からは,臨地実習におけるインシデント・アクシデントの実態把握を開始し,現在,各校がそれぞれ,実習前後の「安全教育」に力を注いでいるところである.「安全教育」では,例えば,学生が起こしやすいヒヤリ・ハット事例のシナリオを作り,教員がロールプレイで演じて,事故防止策を学生にグループ討議させる等,創意工夫を凝らしたプログラムを立てている.
しかし,医療事故発生の重大な要因として,新卒看護師の臨床薬理や診療補助についての知識・技術不足が浮かび上がっており,卒業時に到達すべき技術と実際に学生が到達している技術の差は,もはや看過できないところにきている.さらに静脈注射が看護の本来業務とされたことにより,臨床における看護業務のリスクは一段と高まるものと推察される.
そこで,都立看護専門学校では,卒業後の医療現場への適応と,注射事故防止を視野に入れた取り組みとして,平成16年度入学生から,新科目「診療補助技術における安全」を設置することにしたので,検討の経緯と科目の概略を報告する.
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