特集 看護事故防止カリキュラムの構築
神奈川県立病院付属看護専門学校における事故防止教育の実際
斉藤 理恵子
1
1神奈川県立病院付属看護専門学校
pp.104-112
発行日 2004年2月25日
Published Date 2004/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200157
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
医療現場におけるエラーは,医療に対する社会全体の信頼を損なうだけでなく,何らかの理由により医療を受ける人々の幸福を根底から覆すという,取り返しのつかないものである.医療事故についての報道が繰り返される度に,あらためて人間の生命を守る責任の重さを実感し,同時に看護基礎教育において何を,どのように教育していけばよいのかを具体化することが急務であることを痛感している.平成14年度末に,厚生労働省より「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会」報告書が出され,本校においても技術教育についての検討に取り組み始めたところである.
現在本校では,学生が看護を考える力と,対象の安全・安楽を守る実践能力を強化できるように,学内の座学および臨地実習が統合できることを目的に,科目の順序性や技術内容を評価しながら教育にあたっている.しかし,臨地実習においては,無資格考である看護学生が経験できる技術は限られており,日常生活の援助が中心で,採血や与薬等,診療の補助に関わる身体への侵襲を伴う技術については見学がほとんどという現状である.医療現場で発生している事故の多くには新人看護師が関わっており,事故の種類別にみると注射・点滴事故が多いことから,臨床側で求められる技術の実践力と,基礎教育における技術の到達度の乖離があることが容易に推測できる.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.