特集2 ナイチンゲール アップデート
ナイチンゲールをめぐる現代の論争 歪められるナイチンゲール像
小南 吉彦
1
1ナイチンゲール看護研究所
pp.848-851
発行日 2014年9月25日
Published Date 2014/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102817
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ナイチンゲールは過失犯罪者か?
皆が口をそろえて「ナイチンゲールは天使だった」と褒めそやす傾向には,違和感を覚える人も多いでしょうが,反対に「ナイチンゲールは過失犯罪者で,しかも名声欲の強い女だった」と聞けば,誰もが「まさか!?」と耳を疑うでしょう。
ところが最近,フロレンス・ナイチンゲールの人格を貶める奇怪な風説が,世界的にじわじわと広がって,一部に定着し始めている気配があります。それは,
「ナイチンゲールは,クリミアの天使どころか,クリミアでの重大な過失によって一万数千名の兵士を無為に殺した犯罪者である。しかもその証拠の隠滅をはかって失敗し,その後,罪滅ぼしのために社会改革事業に献身的に奉仕したが,それも結局,自分の名声を後世に残そうとする謀略であった……」といった内容です。
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