特集 「おかしいな」と思ったときの学生指導
看護師をめざす学生への「関わり」
池西 静江
1
1Office Kyo-Shien
pp.280-282
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102666
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「関わり」によって「看護師になる」ための学業が継続できた事例
「看護師になる」という目標をもって入学してきた学生が,3年あるいは4年の学校生活のなかで,その目標を見失い挫折しそうになることは決して少ないことではない。筆者も長い教員生活のなかで数多くの事例と出会った。本稿では,筆者の出会った事例やこの特集で紹介される7つの事例にふれながら,学業継続への「関わり」のあり方について考えてみたい。
数年前のことである。ゴールデンウィークが終わり,遅刻・欠席が目立つようになった学生がいた。親元を離れ独り暮らしをはじめた学生である。友人に聞くと「寂しいようで,メールや電話があり,よく一緒に食事をする」と言った。それをきっかけに「独り暮らし応援隊」という名称のサークルを教員主導で作ってみた。独り暮らしの学生に声をかけて,土曜日にみんなで昼食を作って,会食をする,というものであった。材料費は参加者で割り勘である。1年間でわずか数回の企画ではあったが,その集まりが学生の主体的なサークル活動に発展したとあとで聞いた。卒業の日を迎えた学生は母親と連れ立ってきて「独り暮らし応援隊で仲間ができた。あれがなかったら学校を辞めていたかもしれない」と言った。
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