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主な論文「哲学博士号(PhD)と看護実践博士号(DNP)の教育と役割の違い」から
医療の高度化・疾病の複雑化により,これまで以上に個々の医療スタッフが専門知識やスキルをもち,チーム医療により患者やその家族にアプローチしていくことが求められてきています。より高レベルの教育が必要となり,アメリカでは近年作業療法士(PT)や薬剤師の免許取得に博士レベルの教育が必須となりました。チーム医療の一メンバーである高度実践看護師(Advanced Practice Nurse : APN)には,ナースプラクティショナー・専門看護師・麻酔専門看護師・助産師が含まれます。それらの資格は,看護修士課程で取得するのが主流でしたが,PTや薬剤師同様,APNもケアの質向上を目的に博士レベルの教育の必要性が増し,PhDに加えて看護実践博士(Doctor of Nursing Practice : DNP)のプログラムが今注目をあびています。日本では最近看護の質をあげるために看護の教育水準の底上げという言葉を耳にしますが,アメリカでも医学研究所(IOM)が,看護師の教育レベルをあげるために大卒の看護師の増加,そして博士コースを修了した看護師を2倍にすることを目標に掲げています。
Melnyk氏は,アメリカではヘルスケアに多額の資金を費やしているが,質が伴っていないこと,またエビデンスに基づいた疾病予防のガイドラインが実際の現場では使用されていないことなどを背景にあげ,エビデンスに基づいて実践ができるAPNの養成をする必要があると述べています。さまざまな論文でエビデンスが誕生してから,実際の現場でつかわれるまでに20~30年かかるというデータが示されています。このことからも,エビデンスを使用できる実践家が必要であることはとても明らかなことでしょう。
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