特集 高齢者ケアの質をどうマネジメントするか
老人看護CNSの取り組みから
高齢者ケアの質をどう向上させるか―実践現場に期待すること
天津 栄子
1
1石川県立看護大学
pp.708-710
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100291
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「2015年問題」を前に
日本の高齢化に拍車をかける2015年問題が最近よく論じられている。1947(昭和22)年から1949(昭和24)年生まれの,戦後のベビーブームの世代が高齢期に突入し,65歳以上人口約3277万人と推計され,高齢化率26%となる2015年まであとわずか10年。そしてその先,約30年にわたる超高齢社会が続くことになる。あたりまえのことであるが,戦後の新しい文化・時代を生きた団塊の世代が高齢者になるということは,いま以上に多様な価値観やニーズへの対応が必要かつ重要になるであろう。高齢者の健康維持からターミナルケアまで,ケアの量と質の拡大は喫緊の課題であり,高齢者ケアの最前線で活躍する老人看護専門看護師(以下,老人看護CNS)の要請について,消費者の立場から「もっと必要,ぜひ必要」という声が上がるような仕掛けが必要であろうし,老人看護CNSに挑戦するナースがもっと出てきてほしいと考えている。
老人専門病院での小さな挑戦から
筆者は1988(昭和63)年暮れ,平屋建ての小さな老人専門病院の立ち上げに関わり,川島和代氏(現・石川県立看護大学教授)をはじめとしたスタッフたちと老人看護の実践に挑戦しつつ,その奥深さとやりがいに魅せられていった。同時に,もっと老人看護の質を向上させるために何をしなければならないかといった“ケアへの問い”をよく投げかけ合った。また,高齢者との対話からケアに関わるスタッフの人間的な成熟さを求められていることも肌で感じとった。「知識は取り入れ,知恵は出すもの,何だって役立ってこそよ」というのも,高齢者から教わった教訓の一つである。
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