連載 Mail from USA 『JNE』を読み,世界の看護教育の流れを知る・47
看護の専門性を発揮して他職種と連携するチーム医療
石井 素子
1
1ハワイ大学がんセンター
pp.244-245
発行日 2013年3月25日
Published Date 2013/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102350
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●【新しい教育技法】「専門職種間のプロジェクトを通して学びを深める」より
『JNE』の12月号では,教育改革のコーナーにテキサスのある大学で実施された学生のチームプロジェクトについて書かれており興味をひきました。医療が年々複雑化していくことに並行して,それぞれの職種が専門性を高めてきました。各職種が専門性を発揮してつくるInterprofessional Team(専門職種間のチーム)のメンバーの一員となる看護師にとって,チームワークとコミュニケーションの力は目の前の問題に取り組むなかで鍵となる能力です。また,医療研究所(IOM)は,質や安全性の向上を実現する力は看護師の重要なスキルであると定義しています。
この論文のチームプロジェクトに選ばれたテーマは,Medication Reconciliation(患者さんの薬剤の緻密な確認)です。医療研究所の誤薬予防の報告によると,入院患者は少なくとも一日に一つの薬に関するエラーを起こすそうです。そのうちの20%は,患者に害をもたらすものであるというデータがあり,2005年にアメリカの患者安全確保のための国の目標の一つに掲げられたというのにもうなずけます。Medication Reconciliationは,患者が実際に使用している薬と医師の指示を照合し,本当に必要な薬を確認するというプロセスです。このプロセスを行うことで,薬の不足や重複,投薬ミス,薬物相互作用等の投薬ミスを防ぐことができ,結果患者への害を防止することができます。
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