連載 Mail from USA 『JNE』を読み,世界の看護教育の流れを知る・33
新卒看護師の就職難と求められる医療制度改革
神谷 英美子
1,2
1カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院博士課程
2アジア・太平洋諸島健康管理センター
pp.82-83
発行日 2012年1月25日
Published Date 2012/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101979
- 有料閲覧
- 文献概要
●【小研究】「ワシントン州における新人看護師へのアンケート結果」から
2012年明けましておめでとうございます。日本の,今年度卒業生たちの就職状況はどのようなものでしょうか。こちらでは,特にこの5年程,就職難が続いています。最近,世界各国で飛び火している「占領デモ」。ここ2か月の間だけでも,アメリカの主要都市70か所,世界の900の都市でデモが行われました。そもそもこのデモは,多額の学生ローンの返済の目処が立たない若者たちや,職にあぶれた無職者が,9月17日にニューヨークのウォール街で始めた占領デモ(Occupy Wall Street)が発端です。
今号のJNEで,新卒看護師の就職難の深刻さを取り上げた論文が紹介されています。ワシントン州で2009年5月からの1年間に看護師試験に受かった2200人を対象にした就職状況のアンケート結果です。回答者の就職率は,8割に留まっています。過半数が,8か所以上の求人に申し込み,内定を2個以上もらえた者は,3割以下でした。2004年度の卒業生は,2個以上の内定を得た割合が8割だったというデータを参照すると,その後の5年間でどれだけ就職難が加速したのかがわかります。さらに,このJNEの調査は3年前の卒業生を対象にしているので,景気が年々悪化している今日,就職状況はもっと過酷ではないかと予想されます。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.