連載 「教え方」の本を読む!・11
簡潔かつ印象的に話すことは,練習するかどうかにかかっている―『1分で大切なことを伝える技術』
朝倉 真弓
1
1横浜市病院協会看護専門学校
pp.972-977
発行日 2011年11月25日
Published Date 2011/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101934
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学生の意識に残るような伝え方とは
講義が始まると,私は90分間という講義時間のなかで,私が何を伝えたいのかを明らかにします。つまり,学生が何に意識して講義を聴いていくのか,考えていくのかという「落としどころ」を明確にするのです。そうすることで,学生は話の筋を予測しながら講義を聴くことができるし,授業の内容や重要なポイントの意味を理解する準備ができます。そういう意味では,講義の導入の方法はとても重要となります。しかし,重要だからといって講義の導入ばかりに時間はかけられないし,時間を気にしないで長く説明すれば,この授業で私が何を伝えたいのかがぼやけてしまい,学生は「落としどころ」を見失ってしまいます。
私は基礎看護学のなかで「環境調整」を担当し,そのなかでベッドメイキングの演習をしています。演習では,私はベッドメイキングの原理原則を理解してもらうことが重要だと考えていたのですが,オリエンテーションでは,多くの時間を演習のスケジュールや注意事項など具体的な演習の動きの説明の時間に費やしてしまったために,学生は手順通りに行えたか行えなかったかという手技だけが「落としどころ」と,勘違いしてしまいました。
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