連載 EPA看護師候補との3年間・2
フィリピンの保健医療・看護教育制度―どんな国から候補者たちは来ているのか・2
石川 陽子
1
1首都大学東京健康福祉学部看護学科
pp.792-796
発行日 2011年9月25日
Published Date 2011/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101878
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フィリピンの保健医療事情
フィリピンは人口8800万人,7109の島からなる共和国で国民の83%がカソリック教徒である。成田─マニラは約4時間と日本に近く,在日フィリピン人は21万1716人(2009年末)で在日外国人の9.7%を占めている1)。
健康指標を日本と比較すると,フィリピンにおける乳児死亡率は日本の約7倍,妊産婦死亡率は38倍で,平均寿命は約10歳短い(表1)2)。人口あたり医師数,看護職員数は,年次の違いがあるものの,各々日本の1/4と1/5程度であり,看護職員がより少ない(表2)3)。保健医療分野の目標としては,母子保健の向上,塩分・脂肪分の多い食生活がもたらす生活習慣病の予防,医療提供体制の地域格差是正等が挙げられている。近年,フィリピンでは国民皆保険を目指した医療制度改革が行われているものの,医療保険は入院医療の限られた部分しかカバーせず,加入率も70%程度であることから4),経済的理由で医療にアクセスできない国民は,未だに少なくない。
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