- 有料閲覧
- 文献概要
●【新しい教育法】「革新への大胆な冒険:国際遠隔修士プログラム」などから
2011年明けましておめでとうございます。新年を迎え,新しいことにチャレンジしようと胸を躍らされている方もいらっしゃると思います。こんな時期にふさわしい新しいユニークな看護プログラムが『JNE』で紹介されていました。アメリカで行われている遠隔修士課程カリキュラムと,スイスの国際交流を取り入れた新しい教育法です。世界各国の人々が自国にいながら,アメリカの修士号を取得できる遠隔プログラムを,国際豊かな看護大学として知られているロマリンダ大学が始めました。授業は英語とスペイン語から選択でき,4年間のプログラムの間には,アジアの生徒たちはタイ,中南米やアフリカの生徒たちはアルゼンチンで集まる1か月間の集中講座も組み込まれています。45名がこのユニークなプログラムを卒業し,全員が自国の指導する立場に着き,うち42人が看護学校および3名が病院内での教育者になりました。
このようなプログラムは,自国に貢献しながら質の高い教育を受けることができ,また異文化や異国の生徒間で行われる議論は,いろいろな意見や考えが飛び交い,学びが多いことだと思います。また,質の高い教育を受けるために海外に留学し,卒業後は帰国し,自国の看護の質向上に尽くす予定が,そのまま移住先で結婚や就職につき,その機会を見失ってしまう優秀な看護師や教育者達の他国への流出問題を防げる対策の一つにもなるのではないでしょうか。もう一つの新しい試みは,世界保健機構や国際看護師協会,赤十字など数々の国際医療機関の本部があり永世中立国として知られているスイスで始められました。現在700名ほどの看護学生が,Haute ecole de sante Geneveで国際医療や看護問題などに直に触れられる機会やインターンシップに携わりながら学んでいます。スイス従来型の看護カリキュラムとは異なり,アメリカのものを参考にし,生徒各自の履修ペースの尊重,議論や批判的思考力の育成に焦点を置き,世界を視野に入れて自分の意見をしっかり発言できる人材を育てることを目標にしています。そして,アメリカの看護師との交流の場も設け,将来国際的に活躍出来る看護師を育てています。これからますますグローバル化していくであろう将来,このような新しい教育の試みも多く選出され,注目されるのではないでしょうか。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.