連載 誌上FD 自己決定できる「女性」を育てる 気づきと目覚めのジェンダー教育・13
ヘテロセクシズムとホモフォビア
沼崎 一郎
1
1東北大学大学院文学研究科
pp.76-81
発行日 2011年1月25日
Published Date 2011/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101664
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前回検討した「お決まり」のセクシュアリティには,男女間の不平等性に加えて,ヘテロセクシズム(heterosexism)とホモフォビア(homophobia)という問題が含まれています。今回は,この点について考えたいと思います。
ここで,異性愛と同性愛という日本語について,少し説明しておく必要があるようです。異性愛はヘテロセクシュアリティ(heterosexuality),同性愛はホモセクシュアリティ(homosexuality)の訳語として定着しているので,これまでもずっと使ってきましたし,今回も使っています。しかし,よく考えてみると,セクシュアリティは「愛」とイコールではありません。第11回に引用したWHOの定義は,「セックス,性自認(gender identity)と性別役割(gender role),性指向(sexual orientation),エロティシズム(eroticism),快楽,親密さ,そして生殖(reproduction)を包括的に含む」幅広いものでした。ヘテロセクシュアリティ,ホモセクシュアリティも,当然,これらすべてを含む幅広い概念です。それを「愛」と訳すのは,どう考えても不正確です。
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