連載 誌上FD 自己決定できる「女性」を育てる 気づきと目覚めのジェンダー教育・7
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沼崎 一郎
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1東北大学大学院文学研究科
pp.611-615
発行日 2010年7月25日
Published Date 2010/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101510
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私は,講義形式の授業でも,できるだけ読書課題を出すようにしています。なんといっても,最近は本を読まない学生が増えていますから,とにかく本を読むという作業をさせるだけでも意義があると思うのです。また,本を読んでいる学生であっても,授業で課題として指定されなければ手に取らない本というものもあります。「授業で“読まされ”たから読んだけれど,そうでなければ読もうともしなかった。“読まされ”てよかった」という声を学生から聞くことも少なくありません。
それならば,推薦図書として「こんな本もあるよ」と授業で紹介すればいいかというと,そうではありません。推薦図書を自ら進んで手にする学生は,残念ながらほとんどいません。最近の学生は,良くも悪くも「何の役に立つか」を考えます。それも,目先の効果を考えるのです。ですから,たとえ将来ためになる本かもしれなくても,それを読むことで今すぐ何らかの利益が得られなければ,今すぐ読む理由はないのです。それで,読みません。しかし,レポート課題であり,レポートが評価の何十パーセントかを占めるとなれば,読んでレポートを出さなければ成績にかかわりますから,仕方なく読みますし,レポートも書きます。
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