連載 大学ジャーナリストの取材ノートから・6
イベントからわかる学校模様─卒業生の母校愛を育む行事を
石渡 嶺司
pp.505
発行日 2010年6月25日
Published Date 2010/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101485
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先日,卒業式に出席し,思わず泣いてしまった石渡です。と言っても,自分が卒業したわけでもなく,自分の身内の卒業式でもありません。知人に武蔵野美術大学の職員氏がいまして,その方が卒業式前日に「見に来ないか」と誘ってくれました。前日に誘う職員氏もどうかと思いますが,その誘いに乗る私も私です。「つまらない卒業式ではないから」と力説されるので,つまらなかったらどうケチを付けてやろうかと思いつつ行ったところ,結果は冒頭の通り。まずステージからして変わっていて,大学の頭文字(MAU)をうまくあしらったアーチがありました。式次第の進行も歌あり,踊りあり,チンドン屋まで登場するほど,ぶっ飛んだ内容。卒業証書授与も,堅いものではなく,芸能人風の記者会見をあしらう学生もいれば,舞台に自転車で登場する学生もいました。それを受け入れる学長も度量が広く,さすが美大の学長と言ったところです。そして,ラストには学生がひたすら大きく手を振るカットをたくさん集めた映像を流しながら,紙吹雪。余計なコメントがなくても,“卒業生はこれでお別れなんだ”,とわかるいい演出でした。おそらく,式に参加した親も,わが子がどんな大学で学んだのか瞬時にわかり,学費を払って良かったと考えたのではないでしょうか?
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