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はじめに
2009年7月,「保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」が成立し,2010年4月より医療機関等において新人看護職員の研修が努力義務化される。さらに厚生労働省「新人看護職員研修に関する検討会」においては「新人看護職員研修ガイドライン」が2009年12月に示され,今後の新人看護職員(以下,新人)に対する研修体制の整備が期待されている。
このようななか,神奈川県では,すでに2004年度より新人看護職員研修を行政の課題として取り組んできた。当初の取り組みは,県内の新人を対象として講義を中心とした集合研修であった。しかし,集合研修には限界があり,2007年度より研修内容を大きく転換させ,新人看護職員確保対策の重点課題と位置づけ「新人看護職員と教育担当者に教育的支援をする研修会」(以下,研修)を企画し,実施した。
この研修の大きな特徴は,(1)研修対象者が新人と新人教育担当者(以下,教育担当者)双方であること,(2)研修対象を300床以下の中小規模病院としていること,(3)新人と教育担当者が研修において同じ時間・場所を共有すること,(4)看護基礎教育の専任教員および臨床の現任教育担当者の双方から研修を支援する講師を得たこと,以上4点である。
看護基礎教育において看護を学んできた新人の看護職として成長を続けるという営みに関わる人々が,立場の違いを越えて新人を理解し,成長の過程を見守り支えるという事業に取り組んでいるのが本研修である。
実施から3年間が経過し,絶えず進化させながらプログラムの構築を図ってきた。その足跡をたどり,この研修成果を報告するなかから,新人研修のあり方,新人が自らの看護の経験から学び続けていく生涯学習者としての能力を,看護基礎教育のなかでどう育てていくかについて考える一助としたい。
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