書評
―『病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図』―学生の不安を解消する,ありそうでなかったノウハウ満載のガイド
澁谷 貞子
1
1つくば国際大学医療保健学部看護学科・成人看護学
pp.611
発行日 2009年7月25日
Published Date 2009/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101240
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この本を手にした学生の反応は,「実習のとき役に立ちそう!いいなー」であった。実習ガイダンスの時点から学生の反応は,“眠れない・大変・緊張する~”となる。「何が大変?」と聞くと,患者さん,指導者さん,コミュニケーション……と大変の種は尽きない。実習に対して,座学とは違った楽しさを感じてはいるものの,先輩の情報から不安と睡眠不足の予測に恐々としている学生たちである。そんな学生が看護過程を学ぶとき,これまでの学びが,自分の判断を伴わない暗記で,テストをクリアしてきた連続であったということに気づく。患者の情報をどのようにアセスメントし,その根拠はということになると,はたと思考が停止してしまう。そして本に答えを求め,グループメンバーに意見を確認する。しかし最後は多くの情報を,自分の頭で分析しなくては答えが出ないということに気づき,愕然とする。
受け持ち患者の情報を受け取ったときに学生の取る行動は,図書館で疾患の勉強から取り掛かる。しかし単独の疾患・障害で入院している患者はほとんどいない。膨大な疾患の勉強をしなくてはならない。そして解剖・生理から始まって,検査データ,薬理学,治療,食事療法,画像診断の本,etc……,かくして学生のズタブクロは,はちきれんばかりに膨らみ,看護の本にたどり着く頃は真夜中か,朝方か,最悪の場合は実習開始に突入してしまうという状況である。
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