連載 看護師が学ぶ「性の健康」教育・6
「性を語る」訓練と意義―共感ではなく理解から学ぶ
堀 成美
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1聖路加看護大学看護学部基礎系看護学・看護教育学
pp.544-545
発行日 2009年6月25日
Published Date 2009/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101226
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私自身が「性の健康」を考え,さらにそれを自分のライフワークにするようになったきっかけはいくつかあるのですが,そのひとつにHIV/AIDSの問題があります。皆さんご存じのように,新規の感染報告が増加の一途をたどっています。当時私はエイズ診療を専門とする医療機関の外来で働いていたのですが,増える一方の新規患者さんをケアする外来で,「病院で病気になってくるのを待っているだけでいいのだろうか?」という疑問がわきました。予防医学という言葉は当時もありましたが,“病気にならないためのケア”という視点も必要なのだと考え,教育分野で予防に関わるようになり,大学院もそのノウハウやシステムをより深く知るために修士も博士も教育学を専攻に選びました。
「看護の世界では珍しい経歴だね」とよく言われますが,病気になったあとのケアの話はたくさんあるのに,ならないためのケアの実践や語り,そして教育法が少ないことを当時不思議に思っていたのです。
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