巻頭言
わたしたちは「共感」をいかに理解すべきか?
三野 善央
1
1大阪府立大学人間社会学部精神保健学
pp.936-937
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101499
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共感の今
精神療法において,共感は基礎的な要素であると考えられている。それどころか,日常臨床において,患者,クライエントに対しての共感は不可欠であると教育されている。それは,精神科医に限らず,看護師,臨床心理士,精神保健福祉士など精神保健福祉にかかわるすべてのスタッフに当てはまる。精神療法,心理療法における共感の重要性をRogersは,共感的理解(empathic understanding)として指摘している。しかしながら,この共感概念に関しての検討は十分になされているとは言い難い。
まず共感という言葉の持つ意味について考えたい。共感は明らかに訳語である。英語のempathyの訳語であるともいわれているし,独語のEinfuhlungの訳語との説もあるらしい。いずれにしろ,日本語で日常的に使用されてきたものではない。
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