書評
―『現場がみえる 輸液の知識と患者ケア』―看護実践で役に立つ。現場が見える参考書
土藏 愛子
1
1聖母大学看護学部・基礎看護学
pp.129
発行日 2009年2月25日
Published Date 2009/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101132
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これまでの臨床における輸液に関する文献は多くが医師の視点で書かれた体液管理に関するものと,点滴静脈内注射の手技に関する看護師の手順書的なもの,輸液に用いる薬剤に関するものなどがそれぞれに分かれて書かれていました。本書を手にとって,“看護の視点で使うことができる輸液と点滴静脈内注射に関する集大成となる本ができた”とまず初めに思いました。編集をされたお一人である中村氏が「はじめに」の中でも述べておられるように,まさに「看護実践で役に立つ」本ができたと思います。
内容は,輸液がなぜ行われるのかの理解のために,水・電解質の基礎知識から酸・塩基平衡に関するアセスメントがわかりやすく説明されています。次に輸液で使用する器材の説明が,これもたくさんの図や写真を用いてわかりやすく書かれています。次にこれは1冊になっていると便利であると思った部分ですが,多くの薬剤についてその特徴まで丁寧に説明されています。さらに実施の実際と観察ポイントや考えられる合併症について,局所的なことから全身的なことに至るまで述べられています。点滴の援助の実際では日常生活援助の細かい部分にまで,たくさんの写真入りで懇切丁寧に説明されています。なるほどなるほど……と思わされます。
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