連載 東洋医学講座 鍼灸医学を中心に・11
高齢者医療における鍼灸治療
松本 勅
1
1明治国際医療大学鍼灸学部加齢鍼灸学教室
pp.978-984
発行日 2008年10月25日
Published Date 2008/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101049
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
高齢者の健康状態と受療状況
わが国は高齢化が著しく,2007年9月15日現在の高齢者(65歳以上)人口は2744万人で21.5%を占め,超高齢社会に突入している。一方,高齢者の増加とともに寿命も伸びて,2007年には男性約79歳,女性86歳となり世界一の長寿国を維持している。
しかし,長生きすれば幸せかというと,必ずしもそうとは言えない。健康で苦痛のない生活ができてこそ長寿を享受していると言えよう。厚生労働省が国民生活基礎調査で3年毎に行っている健康調査の2004(平成16)年の結果では,症状を有している割合の有訴者率(発表では人口千人あたりの数であるが,ここでは%で示す)は,31.7%であるが,高齢者のみでは49.3%と多くなっている1)。また,症状が日常生活に影響している者の割合(医療施設,介護保健施設への入所者を除く)も,全年齢平均(11.0%)に比して高齢者では4人に1人(24.8%)と多くなっている。また,受療状況では,全年齢の平均通院者率(32.5%)に比し,高齢者(63.7%)で倍増しており,症状が起こると受診する者が多いことがわかる。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.