連載 思い出すけっち[あの人、あの時、あの言葉]・26
Nさんと2人の“妻”
高橋 シュン
1
1元聖路加看護大学
pp.168-169
発行日 1991年2月1日
Published Date 1991/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904116
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1935(昭和10)年に看護学校を卒業した後,直ちに聖路加国際病院に就職した,臨床に従事した14年余りの間に,スタッフナースから主任,病棟婦長(スーパーバイザーと呼んだ),夜間婦長を担当し,多種多様な体験をした.この過ぎし日々の1コマ1コマが人間に対する感動であり,また学びであった.その積み重ねで,次第に私自身の看護に対する考え方が培われたように思う.
牧師の家庭に育ち,英国のミッション系の5年制の女学校から聖路加女子専門学校へと一貫したキリスト教的環境の中で,「自分が大切であると同様に他者も大切な存在である」と教えられたことも,人間に対する感動と学びの背景となっていたことは確かである.さらに戦時中はフィリピンのマニラに派遣され,1年間現地のスタッフとともに病院で働き,新しい体験をしたこと,また終戦後最初の女子の留学生として米国に学んだことも,私の看護に対する考え方に大きなインパクトを与えた.
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