焦点
2.看護専門学校における教職員倫理指針の作成
北出 千春
1
,
田渕 郁子
1
,
中山 久子
1
,
熊谷 江利子
1
,
石川 寛子
1
,
三村 郁子
1
,
西村 和子
1
,
梶谷 薫
1
,
山﨑 陸世
1
1田北看護専門学校
pp.314-318
発行日 2008年4月25日
Published Date 2008/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100899
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教職員のための倫理指針の必要性を痛感して
田北看護専門学校(以下,本校)では,毎年,教育理念・目的・目標の見直しとともに,教育目標を達成するための方法について,副学校長はじめ全教員で話し合いを重ねている。本校の教育理念は,「仁」であり,「生命の尊厳を守り,人格を尊重できる態度を養う」という教育目標を第一に掲げている。2006年,この教育目標を達成するための一つの方法として,教職員の倫理指針の必要性を感じ,独自の倫理指針を作成し,この指針をもとに教育活動を行っている。
「生命の尊厳を守り,人格を尊重する」には,「徳」,つまり「倫理」が必要とされる。看護教育は,歴史的に職業訓練的要素が強く,礼儀作法や従順,謙虚,忠誠心など,受動的要素をもつ美徳の倫理が強調されていた時代もあった。しかし,現在の看護者に必要とされる倫理的能力は,倫理的問題の存在に気づける感性と,倫理原則や価値観を考慮した判断能力,そして,決定したものに対する実践力が必要とされる。倫理的能力の育成は,判断力や意志力の不十分な幼児から始められねばならなく,無知を自覚し,各自が徳を求めることが最良の倫理教育とも言われる1)。単に方法論・手続き論などの座学だけで育成することは困難である。学生の成長過程において獲得されてきた善悪を識別できる性能を,さらに発展させ,継続していくことを期待して,「理想的な倫理的モデルの存在」2)と倫理的感性の基礎とされる共感や思いやり,つまり,「ケアリング」を受ける体験,さらに,教育の場に受容的風土を形成する必要があると考えた。
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