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はじめに
近年,日本では国際化に対応できる看護教育を推進するために,海外研修を実施する看護系大学が増加し,途上国において看護学実習を実施する大学も現われはじめた1)。長崎大学においても,国際的に活躍できる看護職の育成を教育目標として掲げ,国際保健看護学,国際看護・国際保健活動論,熱帯病保健看護学などの講義に加え,途上国の人々の健康問題を実感し,実践的なケアを行えるフィリピン看護学実習に取り組み始めた2)。その看護学実習は,現在,まだ選択科目の単位としても認められていない。しかし,2007年4月にカリキュラム改正案で示された「国際社会において,広い視野に基づき,看護師として諸外国との協力を考える」3)という「看護の統合と実践」の内容に十分対応できる内容であるため,選択科目として2009年4月からの新カリキュラムに組み込む検討をしている最中である。
効果的な看護学実習を実施するためには事前学習が欠かせないが,途上国における実習では,日本における実習以上に事前学習が重要となる。それは,途上国では先進国と比べ,医療設備や医療システムの違いに加え,先進国ではほとんど見られない疾患があり,患者を取り巻く生活環境の違いを十分に把握する必要があるからである。また,日本とは違う生活環境のなかで実習をすることから,学生自身が生活リズムを整え,体調管理する必要があるからである。しかし,途上国における看護学研修のための事前学習に関する報告は数少なく4),必要とされる事前学習の具体的な内容や事前学習の時期を検討した報告はみあたらない。そこで,今回,本学のフィリピン看護学実習のための事前学習を紹介するとともに,それを受けた学生へのアンケートおよび学生がレポートに記載した学びから,事前学習の内容,時期と期間などを検討したので報告する。
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