連載 患者学通信・8
患者の気持ち
田中 祐次
1
1東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム
pp.837
発行日 2007年9月25日
Published Date 2007/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100773
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先日,退院したある患者がこんなことを話されました。「お見舞いで来てくれるのはうれしい,でも,やさしい言葉をかけられればかけられるほど自分は何もできない人間なんだと思えて,つらい」。この連載の1回目で紹介した患者の,「入院中は医師に気を遣い,看護師に気を遣い,家族や友人にも気を遣っている」という言葉を思い出しました。友人がお見舞いに来てくれるとうれしいけれども,元気な姿を見せたいから無理して,結局体がつらくなるということだと思います。でも,今回の言葉は,それ以外にこんな思いもするのだな,と教えてもらいました。
人間は多くの人からいろいろなことをしてもらい成長します。大人になると自分自身も誰かのために動いたり,サポートしたりしています。ところが病気になるとそれができない。多くの人から助けをもらうばかりになって,それは,うれしい反面,つらいことでもあるのだと。これを聞いたとき,あ,同じ気持ちなんだな,と思った方がいました。
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