連載 医療と社会 ブックガイド・74
○△学×2
立岩 真也
1
1立命館大学大学院先端総合学術研究科
pp.768-769
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100758
- 有料閲覧
- 文献概要
今回は「死の決定について・9」のつもりだった。ピーター・シンガーという人の本を紹介していた。その人は,ある種の人間は殺してもよく,ある種の動物は生かさねばならないと言うのだが,それをどう考えたらよいのだろうということになった。なにか関係することにふれているらしい本がある。それで,ジャック・デリダ&エリザベート・ルディネスコ『来たるべき世界のために』(2001,訳2003,岩波書店),ジョルジョ・アガンベン『開かれ―人間と動物』(2002,訳2004,平凡社)といった本を買い込みはし,すこし読んではみた。案の定と言うべきか,答案を書くのにすぐに役に立つようなことは書いてなかった。自分でも考えなければならない。拙著『私的所有論』(1997,勁草書房)第5章ですこし書いてみたことはあるのだが,それで話が済んだかといえば,怪しい。
ただこの話をしていると長くなりそうだ。それで思いついたのは,書かなければならない原稿で続きを書くことだ。東京大学出版会から刊行予定の「死生学」というシリーズものの一冊になにか書かねばならない。そこでこのことをすこし考えてみようと思う。本が出るのはしばらく先になるが,この連載では,数回後,そこに書くはずのことをすこし紹介できるのでは,と思う。ということで,いったん中断,ということにする。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.