Japanese
English
短報
音楽幻聴(および言語性幻聴)を示した脳血管性痴呆の1例
A Case with Cerebrovascular Dementia showing Musical Hallucination and Verbal Hallucination
大原 一幸
1
,
岩井 雅之
1
,
立田 知大
1
,
湖海 正尋
1
,
守田 嘉男
1
Kazuyuki OHARA
1
,
Masayuki IWAI
1
,
Tomohiro TATSUTA
1
,
Masahiro KOKAI
1
,
Yoshio MORITA
1
1兵庫医科大学精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Hyogo College of Medicine
キーワード:
Musical hallucination
,
Cerebrovascular dementia
,
Pseudohallucination
,
Verbal hallucination
Keyword:
Musical hallucination
,
Cerebrovascular dementia
,
Pseudohallucination
,
Verbal hallucination
pp.191-193
発行日 2004年2月15日
Published Date 2004/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100439
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はじめに
音楽幻聴は,耳疾患を有する高齢者,統合失調症者などにおいて報告されている1,2)。前者の音楽幻聴は,感覚遮断によるもののほか,脳器質性疾患でみられる非精神病性非言語性(要素性)の部分解体現象,すなわち幻覚症あるいはEyのいう幻覚症性エイドリー4)として理解されることが多い。統合失調症でみられる音楽幻聴については,馬場ら1)は「記憶表象から始まる仮性幻覚であり,病勢に応じて真性幻覚へ移行する可能性を持つ」と述べ,Clérambaultの精神自動症3),あるいは精神幻覚からの考察を加えている。我々は,難聴のない,脳血管性痴呆と考えられる高齢者男性に音楽幻聴(および言語性幻聴)が出現した症例を経験した。本例の音楽幻聴は,感覚遮断や幻覚症性エイドリー(幻覚症)からは理解できず,「仮性幻覚から進展した精神自動症」と考えられたので,若干の考察を加え報告する。
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