実践報告
「点滴静脈注射を受けている患者のトイレ歩行援助」の演習の工夫―教材“ドリップ君”の開発
穴沢 小百合
1
,
松山 友子
2
,
吉満 祥子
2
1国立国際医療センター看護部
2国立看護大学校
pp.508-513
発行日 2007年6月25日
Published Date 2007/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100686
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
看護基礎教育の技術教育における演習とは,「看護実践の状況を想定し,教師の指導の下に看護技術の練習を探求的に行う授業」である1)。そのため教員は,看護実践の典型的・現実的な状況をつくり出し,看護学生(以下,学生)の看護技術への関心を喚起し,看護技術を習得させる必要がある。しかし,一方で演習は想定された状況下での模擬体験であり,しかもシミュレータやモデルを用いた体験に留まることもあるため,現実的という意味では限界がある。だからこそ,看護技術の演習は指導計画の十分な検討と指導方法の工夫が重要になる。
シミュレータやモデルを用いることが多い看護技術演習の一つに,点滴静脈注射に関するものがある。この看護技術は患者への侵襲や技術の難易度の観点から,臨地実習において学生が教員や看護師の指導・監督のもとで実施できる技術に位置づけられており2),より確実で安全な看護技術提供が求められている。その一方,この技術は学生が支援を受け習得しなければならない状況にあり3),演習における十分な学習が必要である。
筆者らは,点滴静脈注射に関する看護技術の演習について,その指導方法の検討を重ね,「点滴静脈注射を受ける患者の日常生活援助に関する学習教材(実用新案登録3128480,以下,“ドリップ君”)」を開発した。本稿では,この“ドリップ君”の開発経緯と特徴,および“ドリップ君”を使用した「点滴静脈注射を受けている患者のトイレ歩行援助」の演習について報告する。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.