連載 スクリーンに見るユースカルチャー・7
働くことと友達を大事にすること―『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』
小池 高史
1
1横浜国立大学大学院教育学研究科
pp.108
発行日 2007年2月25日
Published Date 2007/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100609
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2002年に放送されていたテレビドラマシリーズの映画版第2作目である。そして,本作でこのシリーズも完結するということになっている。主な登場人物の5人(木更津キャッツのメンバー)は,ドラマの時点では,1人は居酒屋経営,1人は大学生で,他の3人は無職(あるいはそれに近い存在)であった。彼らは,地元である木更津と昔からの友達をとても大事にしていた。このシリーズの魅力は,何よりも仲間と一緒にいることを優先する彼らの間に流れる空気感にあったと私は思う。
本作品においては,1人はすでに亡くなっていて,他の4人はそれぞれたこ焼屋経営,公務員,自衛隊員,無職という設定である。今となってはみんなばらばらで,過去の仲間たちとの関係は失われてしまっている。そのなかで,公務員として働いていたバンビ(櫻井翔)は,死んだ友人のために全国に散らばってしまっていた仲間たちを集め,さらに自分の仕事をあっさり辞める。その結果,かつての木更津キャッツの4人は地元に再集結し,なぜか死んでいたぶっさん(岡田准一)も生き返り,あの頃の空気感が戻ってくる。「キャッツアイ」が好きだという人の多くは,映画を観て,バンビの行動に賛同するはずである。
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