発言席
「日本家族看護学会」への期待—第1回学術集会を終えて
杉下 知子
1,2
1東京大学医学部健康科学・看護学科家族看護学講座
2日本家族看護学会
pp.1055
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901053
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科学技術の発展に伴う先端技術の医療への導入は,500g前後の超未熟児や悪性腫瘍などの重症患者の長期間生存を可能とし,さらに病院内でなければ実施困難であった高度の医療,例えば人工透析,酸素療法,中心静脈栄養法・注入療法などを一般家庭でも実施可能な状況を実現しつつある。高齢化の加速は寝たきり患者も増加し,入院が長期化する傾向にあるが,厚生省は3か月以上の長期入院型の患者の退院促進策を推進している。
このような状況下で,平成4年度には老人訪問看護制度がスタートし,寝たきりなどの高齢者が在宅で看護サービスを受ける環境が全国的に整備されつつある。さらに民間企業の中には,上記の先端医療技術を一般家庭に導入するために,訪問看護部門,調剤薬局部門,情報管理部門の3者をネットワークするシステムを開発し,先進的な在宅医療サービスの試みを展開し始めた。今まさに医療の場が病院限定から一般家庭へと拡大する大きな変換点を迎え,医療システムの新たな枠組みが構築されようとしている。
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