特集 学生が臨床で暴力に遭遇したとき
臨地実習におけるセクシャルハラスメント体験と問題の分析―学生の1事例を通して
北出 千春
1
,
西田 絵美
2
,
濱田 明日香
3
,
中村 乃利子
4
1田北看護専門学校
2白鳳女子短期大学
3奈良県立奈良病院附属看護専門学校
4大和高田市立看護専門学校
pp.1070-1074
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100181
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はじめに
看護業務は身体に触れるケアが多く,病院はセクシャルハラスメントの温床とも言われている。看護学生も同様に,セクシャルハラスメントの被害にあうケースを目にする。1997年に「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律」が改正され,セクシャルハラスメント防止のための事業主の配慮義務規定(均等法指針)について1999年に施行された。また,同年に人事院や文部省(現・文部科学省)においてセクシャルハラスメント防止の規程ができ,職場のみならず学校においてもセクシャルハラスメント対策が進められている。
しかし,沼崎1)は「セクシャルハラスメントガイドラインを定め相談窓口を設けても,表面的な対策作りがかえってセクシャルハラスメントに遭遇させる,いわゆる二次被害が頻発している」と警鐘している。
患者から受けるセクシャルハラスメントには,企業や学校とは異なる構造が存在している。したがって,法律で規程されたガイドラインの焼き直しでは,対応しきれないと考える。
そこで本研究は,セクシャルハラスメントを受けた看護学生の感情・認識・行為の実態とそれを取り巻く問題を明らかにして,看護学校独自のセクシャルハラスメント対策の示唆を得ることを目的として行った。
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