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登場人物
A 大学教師:大学教師:教育関連学部で社会学を教えている。50歳代,男性。
B 大学生:教育関連学部の4年生。20歳代,男性。
はじめに
A 今回は前回に引き続き,「第7回世界青年意識調査」の結果を使わせてもらいます。5か国の18─24歳の若者を対象に2003年に実施された調査研究です注1)。
B 前回は結婚観と離婚観の5か国比較を見たわけですが,今回はどうするのですか?
A 日本の若者とスウェーデンの若者との比較をしてみたいと思います。前回も述べたように,この報告書には調査の詳細な結果がのっています。ただ,日本と他の1か国を取り上げて,単純集計だけ比較してみる大づかみの分析もおもしろいと思うのです。あまり細かい分析ですと全体像が見えにくくなります。
B 2か国の比較調査というのはこれまでもあるのですか?
A 青少年を対象にしたものだけでも,たくさんあると思います。もう25年前ですが,1980年に日本青少年研究所という研究機関が実施した「日米高校生比較調査」という調査に参加したことがあります注2)。
その時は高校生の友人関係を担当したのですが,日本の高校生のほうが,友人を選択する範囲が狭いという結果が出ました。日本の高校生は,アメリカに較べて,自分の通っている高校内から友人を選ぶ傾向が強かったのです。さらに,同学年,同性,同じクラス,成績も似ている友人が多かった。違った言い方をすると自分と似ている人を友人として選びやすかった。もともと,日本の高校は同じような成績や,地域,階層の人たちを集めて1つの高校を作る傾向が強いですから,高校生の友人関係が同質的になり,あまりタイプの異なる人たちと交友関係を持ちにくいという傾向が見られたのです。そのことが直ちに問題だということにはならないと僕は思いましたが,報道された時は,大きな問題のように扱われてしまいました。
B 今回,特にスウェーデンの若者を取り上げるのはなぜですか?
A 前回の結婚観や離婚観もそうですが,報告書の集計結果の部分をぱらぱら見ていて,日本と一番結果が異なるように思えたからです。今回は,家族や親子関係について検討してみましょう。
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