特集 地域保健活動の焦点—21世紀を目前に
II章 保健所は強化されたか—地域保健法施行後の活動総括
政令市における地域保健法施行後の活動総括と今後の展望と課題
工藤 啓
1
,
高橋 香子
1
,
大室 鮎美
1
1宮城大学看護学部
pp.1006-1011
発行日 1999年11月25日
Published Date 1999/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902966
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はじめに
政令市の場合,保健所法から地域保健法への移行はどのような影響があるだろうか。保健所の数が半減したことや,保健業務の分担や役割が保健所と市町村間で変更があったことなどにより,県型の保健所の事業は大きく影響を受けた。これと比較すると,機構上はそれほどの変更がないように見えるのが政令市の保健所である。
現在,政令指定都市では,各区に1保健所を確保している都市と,全体を管轄する1保健所を置き各区に保健センターを置くというタイプがある。今回事例を取り上げる仙台市は前者のタイプで,各区に1保健所という体制は従来どおりであり,福祉と保健との統合がなされた体制で保健行政が行われている。機構の変更や役割分担の変化は,言わば外から見える変化である。仙台市の場合はそれほど大きな外見上の変化がないように見える。
しかし,保健所法から地域保健法への移行の影響は,機構や業務分担に限るわけではない。そこで,ここでは,地域保健法成立後にスタートした事業を例にとってそれまでの保健所法の時代とどのような相違があるかを検討しながら,今後の展望と課題を明らかにしていくことにする。
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