特集 いま注目したい保健活動—市町村を中心に
保健活動は脳卒中ゼロ作戦から
大田 歌子
1
1山口県阿武郡むつみ村役場
pp.894-898
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902725
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はじめに
ある日突然一家の大黒柱が脳卒中で死亡したということは,農家にとっては最大の悲劇であると同時に,過疎高齢化が進む当村にとっての損失も大きいものがあった。昭和30年代の末頃から循環器疾患の増加と共に脳血管疾患死亡率は高く(昭和45〜50年までの5年間,年平均31.7%),中でも69歳以下の死亡者が目立った(図1)。過疎化が進み壮年層が出稼ぎなどで減少している背景もあり,このような悲しい噂の広がりは早く,脳卒中に対する住民の関心度も高いことから保健活動の重点目標を「脳卒中ゼロ作戦」とした。
これに伴う活動は行政主導型が続き,「健康づくりは楽しいもの」というイメージにはほど遠いものが感じられた。昭和60年より重点目標を「人の和,健康の輪づくり運動」と策定し過去の施策を進める中で,住民が楽しく遊びを交えた中で参加者の幅が広がり,初期の目的が達成できる方法に変えた。当村が歩んだ脳卒中ゼロ対策を,年次を追って整理し反省してみたい。
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