特集 法律がわかれば対策が見える
「児童虐待防止法」と保健師活動
佐藤 拓代
1
,
岩佐 嘉彦
2
1大阪府冨田林保健所
2大阪弁護士会
pp.198-203
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902583
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発見される虐待事例が急増し,「児童虐待の防止等に関する法律」(以下,虐待防止法)が平成12年11月に施行された。同時期に改訂された「児童相談所運営指針」および「子ども虐待対応の手引き」では,それぞれ県児童相談所は保健所,保健センター等と密接な連携をとることにより(中略)児童の問題の解決を図っていく」「母子保健からの虐待への取り組み」と掲げられ,児童相談所が保健所および市町村保健センターに対し期待するものは大きいといえる。「健やか親子21」でも,柱の1つは「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」であり,母子保健分野における虐待への取り組みが明確に位置づけられた。
しかし,母子保健法や地域保健法に保健機関の業務として子どもの虐待は明記されておらず,現場によっては取り組みに温度差がみられている。虐待への援助はいまや児童福祉だけではなく,子どもの身体や心に重大な影響を及ぼすことから母子保健の大きな課題として長期的に取り組む必要がある。虐待する親には精神保健福祉の関与が必要である場合が多く,平成14年度から精神保健福祉法が一部市町村に移管されることから,保健所とともに市町村保健師が障害者に接することが多くなると考えられ,ますます児童相談所などからの保健師活動に対する期待が高まってきている。
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