特集 健康なまちづくりに「環境」は欠かせない
総合的な健康都市づくりに必要な「環境」への視野
赤穂 保
1,2
1杉並区杉並保健所
2保健福祉部
pp.750-757
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902493
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深刻な環境問題
大量生産・大量消費・大量廃棄の現代社会システムは,さまざまな産業公害・都市公害を引き起こしてきた。今日では,それが身近な健康諸問題にとどまらず,酸性雨やオゾン層の破壊,温暖化や気象異常,森林の減少や砂漠化の拡大,海洋汚染や生物の多様性の減少といった地球規模での環境・生態系破壊やさまざまな資源の枯渇をもたらしている。まさに地球の未来や人類の生存そのものが危機的な状況にあるとの認識が広まり,大きな国際問題ともなっている。
温室効果ガスの削減をめざす京都議定書の批准をめぐる各国の交渉ひとつを見ても,環境問題がいまや地球規模での大きな政治課題になっていることがわかる。こうした現状に対しては,大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムから「持続可能な資源循環型社会システム」への政策転換に向けた各国共通の理解と取り組みが不可欠となってきている。“Think globally, Act locally”という視点に立った地域住民と行政との協働による身近なところでの地道な努力と,自治体間さらには国際間の協力が強く求められているところである。
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