特集 健康都市
京都市における健康都市づくり
小濱 本一
1
1京都市企画調整局
pp.330-333
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901032
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◆はじめに
今日,日本は世界で有数の経済大国になった.これまでは経済優先あるいは効率性を追求することが最優先の時代であったが,これからは,これまでの経済成長に向けてきた努力の果実を国民の一人ひとりの豊かさにつなげていこうという時代,すなわち「生活大国の実現」を目指す時代になってきている.これらの変化には,2つのまちづくりの方向の転換が示唆されているのではないかと考える.ひとつは,「経済」から「人」へと政策の重心が移行するだろうということ,つまり,より一層「人」の暮らしに焦点を当てた政策に重点が移ることが予測される.そしてもうひとつは,「フローの大きさ」より「ストックの豊かさ」が重視されるようになるということ,すなわち「豊かさの実感」という言葉に照らして見れば,これからは,心の豊かさや暮らしのゆとりといったものに目標を定め,その源となる「ストックの豊かさ」が重視されるようになると考えられる.このような世の中の動きは,何よりも人が住み,働き,学び,遊び,憩う舞台としての熟度によって都市が評価される時代の始まりを告げているのではないだろうか.
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