特集 保健活動のパラダイム・シフト
[学際からのアプローチ]
都市計画のパラダイムと地域健康づくり
似田貝 香門
1
1東京大学大学院人文社会系研究科
pp.1038-1042
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901474
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都市の歪み
現実には都市計画という用語はかなり広く使われている。そして普通,都市計画は行政の行う狭い意味でのそれをさすことがほとんどである。しかし上記したような戦後の都市計画に対する批判的見解をできうる限り受け入れ,行政の狭い「都市計画」を超えて考えれば,都市をより広く総合的に計画しようととる人間主義的な〈都市の計画〉という思想が定着しつつある。したがってこの思想では,単に行政の法手続き的な計画でなく,実行ある計画として考えられている。
〈都市の計画〉を長らく主張されてきた田村明によれば,都市を単一の目標に向けて形成しようとする静的な計画を超えて,多元的主体と多様な目的を共存することを前提に,相互に調和を図る動態的な計画と考えられ,そして個別技術としての土木・建築・造園などの形態的な総合ではなく,都市の社会システムの形成のための計画まで広げられている1)。こうした〈都市の計画〉の思想をできうる限り広範に受け入れれば以下のように都市計画を定義することができるであろう。
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