特集 「地区組織への支援活動」の徹底理解をめざす
地区組織への支援と組織化のための方法論—個々の組織への支援といくつかの組織を横断的にまとめる際の支援
井伊 久美子
1
1兵庫県立看護大学地域看護学
pp.528-532
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902456
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自治体で働く保健婦は,「住民が自らの問題を解決する力量形成過程への援助を中心にすえ,地域の広がりの中で健康問題をとらえ予防を優先した組織的取り組みと行政施策への反映という公的責任を志向する」1)ところに特徴があるとされている。この特徴を前提に具体的な支援をするにあたっては,すべての活動のプロセスにおいて「住民とともに」が重要なキーワードになるだろう。
従来,保健婦が地区組織に期待する機能としては,①相互扶助としてのサービスの提供,②保健婦にとっての情報源および情報伝達ルート,の2点が主であったと考えられる。しかし,前述した保健婦の特徴を前提とすると,その地域の潜在した問題を顕在化させるような,また必要なケアをその地域に生み出すための発信源としての役割を地区組織に期待して然るべきではないだろうか。また発信する力量をもった住民は少なからずいることも事実である。保健婦にとっての地区組織活動は,地域の健康問題について「住民とともに考える」ための最も大切な活動であり,単に「地区組織の活用」で終わらせてしまってはいけないと思う。
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