特集 「地区組織への支援活動」の徹底理解をめざす
事例にみる地区組織への支援活動の課題—地区組織への支援活動の経験をどう共有するか
坂本 真理子
1,2
1在宅事業評価研究会
2愛知医科大学看護学部地域看護学
pp.518-521
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902454
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地区組織への支援活動のストーリーづくり
在宅事業評価研究会は,「こんなケース,あなたならどうする? 地区組織活動を語り合おう」1〜6)という題で,地区組織への支援活動の6つのストーリーを本誌で紹介しました。保健婦の皆さんから意見をいただき,最も多かった感想は,「こういうことってあるわよね」というストーリーへの共感でした。ここであえて“ストーリー”というのは,私たちが提示したものは特定の事例を紹介したものではなく,あくまでリアリティのある物語として,研究会で創作したものだからです。しかし,創作したものとはいえ,現場を長く離れている筆者に,「あなたがずっと前に担当していた事例でしょ。すぐわかった」と声をかけてくれた元同僚の保健婦もいました。ですから,私たちがつくったストーリーは,いわば地区組織活動に携わったことのある保健婦なら誰でももっている経験や思いを象徴的に描いたものだったといえます。
ストーリーを作成するときに私たちが目標にしたのは,「保健婦たちが地区組織活動を支援する場合に,どんな状況のもとでどのような判断を行うべきか,あれこれ議論できる素材を提供する」ということでした。保健婦の判断を話し合うなかで,保健婦としての特有なこだわりを発見できるかもしれませんし,そのこだわりの背景を探ることが,保健婦の地区組織への支援活動における悩みやジレンマの解決につながるかもしれません。研究会のなかでは,登場する保健婦がどんな状況でどんな判断をしたのか,そして何に悩んでいるのかを,何回も話し合い,記述する場合にはそれをできるだけ際立たせるように意識しました。
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