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保健医療分野では,さまざまな活動方法が提示されている。ここでは近年注目される4つの方法論を取り上げた。「活動方法論」は,ニーズのアセスメントから計画,実践,評価の一連の過程を含むものであり,それが「活動技術」として取り上げたキーワードと異なる点である。それぞれの方法には,固有の特徴や有効な適用場面,あるいは限界がある。保健婦には,それらをふまえ,場面に応じて方法を使いわけてゆくことが今後強く求められよう。
「プリシード・プロシードモデル」は,ヘルスプロモーション活動を展開するためのモデルである。対象のQOL診断から開始し,必要な政策・法規・組織,健康教育まで枠組みに沿って検討し,評価してゆく。現在,西日本を中心に広く活用されている。「地域づくり型保健活動」は熊本県蘇陽町の活動展開を基礎に生まれたモデルである。参加者間の話し合いにより,地域の目標設定を行い,その目標達成のために必要な事項を検討し,実践してゆく方法である。「プロジェクト・サイクル・マネジメント」は,国際協力場面で活用されることが多かったが,近年,日本の地域保健場面で適用されるようになった。プロジエクトとは一定の予算と期間内に定められた目標を達成する事業のことで,それを効率的,効果的に運営・管理し,新たなプロジェクトに結びつくようにするために生み出された。「ソーシャル・マーケティング」は経営学の分野で発展し,商品開発,販売,消費者との関係づくりに適用されてきた。ソーシャル・マーケティングでいう消費者を住民あるいは利用者に置きかえ,住民のニーズに沿ったサービスの開発と改善に応用しようとするのが,地域保健分野でのソーシャル・マーケティングである。
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