連載 いま,世界では!? 公衆衛生の新しい流れ
世界における認知症対策の動向
タルン・ドゥア
1
,
佐原 康之
2
,
シェイカー・サクセナ
1
Tarun DUA
1
,
Yasuyuki SAHARA
2
,
Shekhar SAXENA
1
1世界保健機関(WHO)本部 精神保健部
2世界保健機関(WHO)本部 (NCDおよび精神保健)
1Department for mental health and substance abuse
2noncommunicable disease and mental health
pp.707-711
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103117
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世界は急速に高齢化している.2050年には,60歳以上の人口は20億人を超えると予想される1)(図1).欧州と日本が高齢化の先頭を走るが,中でも日本は約3人に1人が60歳以上(2013年に32.3%)と最も進んでおり,この比率は2050年には42.7%に達すると予測される1).前世紀の健康政策の成功が健康長寿実現に貢献したが,同時に認知症を含めた非感染性疾患の増加をもたらしている.
認知症は,慢性の器質的な脳機能障害であり,行動・認知・感情の障害を特徴とする.現在のところ,治癒または進行を止める治療法はなく,高齢期での罹患率も高いため,高齢者で大きな疾病負荷をもたらす疾患の一つとなっている2).特に低中所得国においては,今後数十年で認知症患者の急速な増加が見込まれているが,これに対応する人的および経済的資源が限られており,今から適切な対応をとる必要がある.
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