特集 ひきこもりとその対策
精神分裂病によるひきこもりへの援助事例
谷津 洋子
1
1東京都南多摩保健所
pp.118-122
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902139
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はじめに
保健所には精神障害を持つ人々や家族,周囲の人々から,「未治療あるいは治療中断の事例」「近隣者の苦情」「社会復帰施設やデイケアなどへのつながりを求めている事例」「家族自身が支えを求めて来所する事例」など,さまざまな相談が持ち込まれる。それらのほとんどの事例のは,家族や周囲の人々が長期間のわたり悩み,何らかの問題がきっかけで支え切れなくなり,やっとの思いで来所している特徴が見られる。
また,保健所では従来より,アルコール問題への対応や母子保健相談の中から思春期の子どもたちへの不登校,暴力,摂食障害,ひきこもりなどについて対応をしてきた。私の勤務する南多摩保健所では,保健所再編を機の平成10年度からこれらの相談に対して,思春期専門相談を開設し対応している。これらの事例は単なる一過性の身体的心理的問題にとどまらず,社会環境上の問題や何らかの要因で機能不全となっている複雑な家族関係が背景になっていることが多い。
この稿では,私がかかわったひきこもり事例へのかかわりの過程を振り返り,ひきこもりの当事者へのかかわりや家族支援のついて,さらに関係者との協働について重要と思ったことについて考察したい。なお,事例のついてはプライバシーに配慮した。
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