特集 保健活動のパラダイム・シフト
[異業種からみた保健]
ソーシャルワーカーから見た保健
磐井 静江
1
1都立広尾病院
pp.1043-1045
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901475
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医療改革の嵐のなかで
「この病院での治療は済んだ。後はどこの医療機関でも対応できるので,どこか他の病院に転院してほしい」「90歳の老人。一時全身状態が危ないので緊急入院させたが,点滴をしたところ3日で回復した。家人が面倒をみられないというので,どこか転院先を探してほしい」,地域総合病院の医療相談室に病院のスタッフから寄せられる典型的な依頼内容である。この数年,病院の役割が保険点数の改正に伴って機能分化され,時間をかけて在宅療養の準備ができなくなっている。そのため,いわゆる社会的入院のための転院が,一層,増加の一途をたどっている。医療行為継続のための障害者の増加もある。バルーンカテーテル,IVH,在宅酸素,気管切開,経管栄養など,さまざまな医療処置を施した患者を家族が受け入れなければならない場面に遭遇していく。転院を選択することが現実的な対応になっている。もちろん,転院によるお世話料(保険外負担)の支払い困難な人もいるが,家族の生活と将来を考えた場合,転院を選択する家庭は多い。
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