特集 保健活動のパラダイム・シフト
公衆衛生・保健領域のパラダイム・シフト
山崎 喜比古
1
1東京大学医学部・保健社会学
pp.926-931
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901450
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はじめに:パラダイム・シフトとアイデンティティ
保健・医療の世界では,21世紀直前のこの四半世紀,世界的にパラダイム・シフトが進んでいます。特に公衆衛生と保健の領域では,WHOが1980年代に提唱したヘルス・プロモーションがこのパラダイム・シフトをいっそう促すものとなっています。
パラダイムとは,科学史家クーン1)が提唱した概念で,「一般に認められた科学的業績で,一時期の間,専門家に対して問い方や答え方のモデルを与えるもの」をいいます。その後,この概念は学問の世界以外の一般に広く流布するようになり,今日では「ある一時代の人々のものの見方・考え方を根本的に規定している概念的枠組みをさす」(『大辞林,第2版』三省堂,1995年)ようになっています。
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