特集 保健所と市町村の新たな関係—今まで,今,そしてこれから
保健所・市町村という二層性の利点と課題—地域保健活動の視点から
藤島 弘道
1
1長野県衛生部
pp.1057-1061
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901054
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はじめに
保健所というところは,市町村と協力して,公衆衛生活動を展開するものだと私は頭から思い込んでいた。だから,保健所長になりたての頃,事務職の人に,“県の行政機関は,市町村を指導する機関であって,第一線活動を実施するべき機関ではない”と言われたり,新採用の保健婦に,“保健所は,なぜ市町村に気兼ねするのか。大学の公衆衛生学教室のように,バリバリ研究すればよいのに”などと質問されたりすると,ムキになって反論したりした。
公衆衛生というのは,実学だから,自分たちが活動してみせて,はじめて指導となり得る。実践活動なくして,中央からの情報を伝達するのは指導ではなく,単なる指示にすぎない。大学の公衆衛生活動は,箱庭いじりみたいなものである。思うような成果が得られなければ,また造り直せばよい。それに対し保健所は,活動がうまくいこうといくまいと,地域に責任がある。それを考えると,市町村と連携しない保健所活動はあり得ない,などと。
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