連載 衛生制度の開拓者たち—明治はじめ京都における政策をめぐって・10
薬局「アポテーキ」
小野 尚香
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.578-581
発行日 1994年7月10日
Published Date 1994/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900964
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
アポテーキとは,オランダ語のApotheek,調剤を行う薬局のことを表しています。この薬局が日本で初めて設置されたのは,今から約120年前,京都においてでした。京都府の役人である明石博高の提唱により,薬業を営む有志らが集まり,府の許可をえて京都合薬会社を創立し,市内2か所にアポテーキと称する模範薬局を設置しました。
明治のはじめには,京都でも,また政府でも,近代的な薬事制度およびそれを担う専門職の制度を築いていくために,政策が講じられていました。その1つが調剤資格についてでした。医師の処方に応じて調剤を行う専門職を確立していくことによって,薬事制度の充実を図ろうとするものでした。それはまた,診察と調剤を仕事の上で分離することでもありました。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.